映画「19歳の地図」を観る | 脳にデキモノできました。

映画「19歳の地図」を観る

大学に入る一年前に、北区王子で新聞配達をしていたことがある。


俗に言う新聞奨学生というものだが、勉強する時間もなく、してる奴もなくただ毎日を消化試合のごとく過ごす日々であった。


この新聞配達という仕事、新聞販売所が食住をまかなってくれるため、生きるのには困らないのだが、

逆に生を握られているためなかなかこの生活から抜け出せない仕組みとなっている。


この毎日代わり映えのない仕事と生活、そして生活が保障されている環境のせいか新聞販売所には様々な人がいた。

金を持ち逃げされた人、週3で風俗通いの人、不良、事故で職を失った人、「親父ぶっころしてやる」が口癖の店長の息子、ほかいろいろと。

ある日、強面の坊主の男が入店して販売所をかき乱して去ってくその日まで、それぞれに自由気ままにしていたのだが。


販売所のバイクの放火や盗難、販売所への苦情は当たり前で、さらには新聞配達は社会の底辺の人の仕事だという認識があるらしく、接する人の態度など様々な人生経験ができたと思う。


就活というのを目の前にして、あの頃を思い出そうかなと柳町監督の「19歳の地図」を観てみました。

舞台が北区王子ということもあり、あったあったこんなこととか思いながら観ていたが、「不安」とか「不満」とかの言葉が出てこないのにそれらが伝わってくるのが、映像の不思議なとこで言葉が使われていない分なお染み入るわけです。


漠然とした不安と不満あの頃も今もそう変わらないのかもしれない。

中上健次原作の映画ということで、近所のbookoffで探したら100円で本が売っていたので思わず買ってしまいました。